KNEE

ヒザの解剖学

膝関節とは

ヒザ

膝関節は人体で最も大きな関節です。また、身体活動中(安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動き)に度々痛めることが多い複雑な関節です。
歩いたり走ったりすると膝には体重の3~5倍の負荷がかけられるものの、かなりの可動範囲の動きを必要とされる関節です。膝のケガはスポーツ傷害の約6割を占めるほど、全てのスポーツ競技者にとって頻繁にケガをする関節の一つであり、ランナーにとっては最も負傷する体の部位です。

関節の種類

膝関節(脛骨大腿関節)は蝶番関節です。蝶番関節とは片方の骨の表面が凸曲面(大腿骨)であり、 これがもう一方の骨の凹曲面(脛骨)のくぼみに適合する関節のことをいいます。ドアの蝶番のように一方向のみに動きます。

可動域

◯屈曲・・・135~145度
◯伸展・・・-10~0度

大腿骨(だいたいこつ)

大腿骨は人体の骨の中でも、長くて重く丈夫な骨で、シャフト(本体)と上部(近位端)および下部(遠位端)の3つのパーツでできています。膝関節を構成するのは下部であり、様々な靭帯・筋肉が付着しています。また、大腿骨前面には膝蓋面と呼ばれる滑らかなくぼみがあり、これが膝蓋骨との関節を形成しています。

脛骨(けいこつ)

脛骨はすねにある2つの骨のうち内側にある骨で、下腿部で唯一体重を支える骨です。そのため、この骨を負傷すると歩行などが困難になります。様々な靭帯・軟部組織が付着しており、それによって膝関節の動きをスムーズにしています。

腓骨(ひこつ)

腓骨はすねにある2つの骨のうち外側の骨で、体重負荷には直接関与していない骨です。主に筋肉の付着部としての役割を持っています。

膝蓋骨(しつがいこつ)

膝の腱に埋められた小さな三角形の骨です。俗に「膝のお皿」と呼ばれます。膝を伸ばしている時の大腿四頭筋の機械的機能を改善し、その際に受けた力を分散させる、また膝の前部を保護する役割も持っています。

靭帯・軟部組織

内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)

関節内側の大腿骨から脛骨までに伸びる靭帯で、幅広で平らな強力な靭帯です。深部組織が内側半月板に固く付着しています。
◯主な役割・・・膝の外側からのストレス(外反)に抵抗し、膝を保護します。

外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)

丸みを帯びたひも状の靭帯で、大腿骨外側から腓骨の頭に伸びています。
◯主な役割・・・膝の内側からのストレス(内反)に抵抗し、膝を保護します。

前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)

関節内部、脛骨の前部から大腿骨の後部に向かって伸びる靭帯。
◯主な役割・・・膝関節の過伸展(伸びすぎる)を予防します。また、大腿骨に対して脛骨が前方にズレることを制限します。

後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)

関節内部、脛骨の後部から大腿骨の前部に向かって伸びる靭帯。
◯主な役割・・・膝の過屈曲(曲がりすぎ)を予防します。また、大腿骨に対して脛骨が後方にズレることを制限しており、これは階段や急な斜面を降りるときに、重要な働きをします。

半月板(はんげつばん)

脛骨の土台に付着している繊維軟骨。断面でみると、外側の縁に沿って分厚く、内側の縁では薄くなっています。
◯主な役割:力の吸収と消散させる役割があります。また、不揃いな関節面を一致させることで関節をよりスムーズに動かす手助けをしています。

筋肉

前面

主となる筋は大腿四頭筋群:外側広筋、中間広筋、内側広筋、大腿直筋で、膝蓋腱を通じて脛骨に付着します。
◯主な役割・・・大腿四頭筋としては膝を伸展させます。また、大腿直筋は特に膝を曲げた時に股関節屈筋としても機能します。

後面

主に半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋で構成されるハムストリングで形成されています。
◯主な役割・・・膝の屈曲、股関節の伸展として機能します。また、走っているときに立ち止まる(ブレーキをかける)動作も担っています。

内側

縫工筋、薄筋、半腱様筋で形成され、脛骨の共有の部位(鵞足(がそく))に付着します。

外側

大腿筋膜張筋は、上前腸骨棘(骨盤の横の骨(腸骨)の一番突出している部分)から起こる小さな筋肉が、腸脛靭帯にまとまり、膝関節をまたいで脛骨に付着します。

その他の部位の解剖学・貼り方

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貼り方